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2011年06月20日

役場に戻ると

役場2階に戻るとにわかに災害対策本部
となっていた。
 支所職員があわただしく
動きまくっていた。
そこに消防救急隊員。
警察署員もあわさってものものしい雰囲気だ。
名瀬警察署長が検死もせにゃならんといっていた。
しかし何も道具がない。

奥の部屋に骨折患者がいた。
妻の美香の処置で痛みは緩和されて
いるようだった。

夜8時
美香はどこ行ったんだろう?
ふと思った。
そういえばうちの職員や薬局
のスタッフもいない。
炊き出しにいったとのこと。
携帯もつながらなくなっていたので
声も聞けない
妻の姿が見えないと心ぼそくなるもんだ。

内服がなくなったと支所に来た人もいて
私はノートPCで電子カルテを開いて
内服内容を確認した。
わずかではあったが往診かばんに
ある内服薬を渡すことができた。

これからどんな患者が来るんだろう。
往診かばんにあるものだけでは
足りないだろう。

私は診療所にもどることにした。
どうなってるかも心配だった。
暗かった。太ももまで汚水につかりながら
よってみ停に往診する前に診療所
に立ち寄った。
玄関は水の力で開いていた。
玄関を入り携帯の心細い光で照らしながら
みてみおると。廊下に待合室の長椅子
が山盛りになってどこから来たかわからない
ものがうずたかくつもっていて
廊下には入れなかった。
受付の事務室からなんとか診察室へ
暗い中入ってみたが、なんでこうなるの
状態であった。これ以上いても何も
みつけられないと思い
診療所裏の自宅にもよってみた。

家のほうも玄関先まで
家財道具や奥にあったはずの
私のパソコンやごちゃごちゃに
がれき状態で足の踏み場もなく
そのがれきの山を滑り落ちないよう
登って(何度も滑りました。バランス悪)
居間のほうまで入ってみた。

大きな懐中電灯をみつけ
スイッチをひねってみると
奇跡的に点いた。明るい。よかった。
電灯の明るさよ。ありがたい。
部屋中を観察しようと電灯を高くかざそう
とした時急に暗くなった。
電灯の接触が悪いのだ。
何回かカチカチやってると
また点いた。


貴重品も妻に連絡つながらないので
ここにいてもしょうがない。
外に出た。

シュー  何の音だ?確認しようと
電灯ともす。暗くなる。カチカチ
また点く。消える。カチカチ
また点く。シュー

ガスだ。診療所裏に置いてある
大きなガスボンベ2つが倒れて
ガスホースが引っ張られ
一部切れていた。

カチカチしちゃダメ!!
引火爆発するところだった。
元栓を暗闇の中締めた。

危うく丸焦げのメタボ親父が
診療所と自宅の間で
発見されるところだった。

診療所に戻りカチカチしながら
必要なものを泥の中から拾い出して
いった。検死に必要な注射器、定規や
心筋梗塞の判断するキットを倒れた
冷蔵庫から取り出した。

よってみ停に行くときは
もう汚水は冷たかった。

7名の生存者も低体温のまま
震えていた。ストーブがたかれていた。
幸い2名の重傷者もまだ悪化はしていなかった。
酸欠は確実だった。
宇検から酸素ボンベが来るらしい。
間にあうといいが。

頭を大きく切った外傷患者も運ばれてきた。との
情報をもった伝令の方が来られた。
しかし縫合する医療機材まではない。
また診療所に濡れながら戻って
カチカチすることになった。

縫合するための道具を汚水の中から拾い上げていった。
傷を見てみないとわからないが。これで縫うしかない。
抗生剤も必要だろう。
ついでに隣の薬局にもよってみた。
薬局も竜巻が通り過ぎたのか状態だった。
冷蔵庫がなぜか空中に横たわっていた。
その下をくぐりぬけて使えるかも知れない
薬を拾っていった。

支所に戻ると椅子に座った外傷患者がいた。
やはり縫合が必要なくらいだった。頭骸骨が
みえている。眉毛の近くだ。
清潔操作も限界があった。
化膿しないでくれよ祈りながら
わざと細かくなく縫って行く。
(こういうとき細かく縫うと化膿しやすい)
骨折患者は何とか明日名瀬にがけ崩れの横を
歩いていってもらうことにした。

やれやれこれからどうなるんだろう。
透析患者は?臨月の方は?
住用の園はどうなってんだろう。  

Posted by 奄美3340 at 11:53Comments(0)豪雨災害